資産形成
住宅ローン総支払額の徹底比較【2026年版】変動・固定・フラット35の選び方
住宅ローンは「人生最大の借金」。3,000万円を35年で借りた場合、金利によって総支払額は3,500万円〜4,500万円と1,000万円以上の差が出ます。月々の返済額だけ見て決めるのは危険で、「総支払額」「金利上昇リスク」「繰上げ返済の柔軟性」の3つで判断する必要があります。
この記事では、変動・固定・フラット35の特徴と選び方、3,000万円借入の総支払額シミュレーション、金利上昇時の影響、住宅ローン控除との組み合わせ方を解説します。
3種類の住宅ローン
1. 変動金利型
半年ごとに金利が見直される。2026年5月時点で店頭金利0.3〜0.5%と最も低い。ただし将来の金利上昇リスクを借り手が負う。返済額は5年ごとに見直され、上昇率は1.25倍までという「5年ルール・125%ルール」がある銀行が多い。
2. 全期間固定金利型
借入時の金利が完済まで固定。2026年5月時点で1.5〜1.9%程度。金利上昇リスクなしで安心だが、変動金利より総支払額が大きくなる傾向。
3. フラット35
住宅金融支援機構の長期固定金利ローン。1.7〜2.0%程度。「フラット35S」だと当初5年〜10年金利が0.25%減。耐震・省エネ性能の高い住宅で利用可能。借入額の上限は8,000万円。
3,000万円借入の総支払額比較(35年返済・元利均等)
| 金利タイプ | 金利 | 毎月返済額 | 総支払額 | 利息合計 |
|---|---|---|---|---|
| 変動金利 | 0.5% | 77,876円 | 3,270.8万円 | 270.8万円 |
| 変動金利 | 1.0% | 84,685円 | 3,556.8万円 | 556.8万円 |
| 全期間固定 | 1.7% | 94,810円 | 3,982.0万円 | 982.0万円 |
| フラット35 | 1.85% | 97,107円 | 4,078.5万円 | 1,078.5万円 |
変動0.5%とフラット35の差は約800万円。これが「変動の方が安いから変動にしよう」と思う最大の理由ですが、金利が35年間ずっと0.5%のままという保証はありません。
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金利上昇シナリオの試算
変動金利を選んだ場合、金利が上がるとどうなるか。3,000万円借入・35年・当初0.5%のケースで、5年後・10年後・15年後に金利が上昇したシナリオを試算します。
| シナリオ | 金利推移 | 総支払額 | 当初0.5%固定との差 |
|---|---|---|---|
| 金利上昇なし | 0.5%のまま | 3,270万円 | ±0 |
| 5年後に1%へ | 0.5→1.0% | 約3,490万円 | +220万円 |
| 10年後に2%へ | 0.5→2.0% | 約3,650万円 | +380万円 |
| 10年後に3%へ | 0.5→3.0% | 約3,870万円 | +600万円 |
金利2%上昇すると総支払額が400万円増。これに耐えられるかが変動金利を選ぶ判断ポイントです。FPの実務では「金利が3%まで上昇しても返済可能」「総支払額が500万円増えても困らない」家計なら変動、不安なら固定を推奨しています。
住宅ローン控除との組み合わせ
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末ローン残高の0.7%が10〜13年間、所得税・住民税から控除される制度です。3,000万円借入なら最大年21万円、13年で合計273万円の控除になります。
控除を最大化するには、控除期間中はあえて繰上げ返済せず残高を残すのがセオリーです。控除期間が終わった11年目以降に繰上げ返済を集中させるのがFP的にベストプラクティス。
繰上げ返済 vs 投資
余剰資金を「繰上げ返済」に回すか「NISA等で投資」に回すかは永遠の論争です。判断基準は「住宅ローン金利 vs 投資の期待リターン」。
- 変動0.5%: NISA・iDeCo(期待リターン3-5%)が圧倒的有利。投資を優先
- 固定1.7%: NISA投資の方がやや有利だが、リスクを考えると五分五分
- 過去のフラット35(2-3%): 繰上げ返済が確実な節約
Q&A
Q1. 頭金はいくら入れるべき?
A. 一般には物件価格の20%が目安と言われますが、低金利時代は頭金少なめ・手元資金を残す戦略も合理的。手元に300-500万円の「生活防衛資金」と「リフォーム積立」を残してから、残りを頭金に回すのが安全です。
Q2. 共働きで連帯債務 vs ペアローン、どちらが有利?
A. 住宅ローン控除を夫婦両方で受けたいならペアローンが有利。ただし諸費用が2本分かかります。連帯債務型(フラット35)は手数料が1本分で済みますが、控除の柔軟性は劣ります。
Q3. 返済期間は35年か30年か?
A. 35年で借りて、繰上げ返済で実質短縮が定石です。借入期間が長いほど毎月返済額が抑えられ、家計に余裕が生まれます。早く返したくなったら繰上げ返済すれば良いだけです。
Q4. ボーナス払いはどう?
A. 原則ボーナス払いなしがおすすめです。ボーナスは業績次第で減ることがあり、ボーナス払いに依存するとリスクになります。月々のキャッシュフローで完結させるのが安全です。
Q5. 借換えのタイミングは?
A. 残債1,000万円以上・残期間10年以上・金利差1%以上のいずれも満たすなら借換え検討の目安。諸費用(事務手数料・登記費用等)で50-100万円かかるため、それを上回る利息減効果が必要です。
📚 参考にした公的一次ソース
- 国税庁「No.1213 認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除」
- 住宅金融支援機構「フラット35」
- 各都市銀行・地方銀行の住宅ローン金利公開情報
- 租税特別措置法 第41条