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年金見込み額の調べ方とシミュレーション【2026年版】
「自分の年金、いくらもらえるんだろう?」50代になって急に気になり始める人が大半ですが、できれば30-40代から把握しておきたいのが年金の見込み額です。なぜなら、年金額が想定より少ない場合、現役時代の貯蓄・投資戦略を変える必要があるからです。
この記事では、厚生年金と国民年金の仕組み、加入年数別の受給額目安、ねんきん定期便の見方、繰上げ・繰下げ受給の損益分岐点、そして「年金だけで暮らせるのか」の現実までを解説します。
年金の2階建て構造を理解する
日本の公的年金は「2階建て」です。1階部分が全国民共通の国民年金(基礎年金)、2階部分が会社員・公務員のみが入る厚生年金です。自営業・フリーランスは1階のみ、会社員は1階+2階のセットで受給します。
- 1階・国民年金: 20歳〜60歳の40年間加入が原則。月額保険料17,510円(2025年度、所得関係なく一律)
- 2階・厚生年金: 会社員時の標準報酬月額の18.3%(事業主と労使折半で本人9.15%)
会社員は厚生年金の保険料の中に国民年金分も含まれているため、別途国民年金を払う必要はありません。配偶者が専業主婦・主夫の場合は、第3号被保険者として保険料負担なしで国民年金がもらえます。
国民年金(基礎年金)の受給額
2025年度の国民年金の満額は年831,696円(月額69,308円)。これは20歳〜60歳の40年間(480カ月)すべて保険料を払った場合の金額です。1カ月でも未納があると、その分減ります。
計算式:
満額 × 保険料納付月数 ÷ 480
たとえば30年(360カ月)納付なら、831,696 × 360/480 = 年623,772円(月約52,000円)になります。
納付期間が足りない場合
受給資格期間は最低10年(120カ月)です。9年11カ月以下では1円ももらえません。20代で未納期間がある人は、60歳以降に「任意加入」して納付期間を伸ばすことができます(月17,510円を払い、年金額を増やす)。
厚生年金の受給額目安
厚生年金は、現役時代の平均標準報酬月額 × 加入年数で決まります。簡易計算式は以下:
厚生年金(年額) ≈ 平均年収 × 0.55% × 加入年数
たとえば平均年収500万円で40年加入なら、500万 × 0.0055 × 40 = 110万円/年(月約9.2万円)になります。これに1階の国民年金(約83万円/年)を足して、合計年193万円(月約16万円)が受給額の目安です。
年収×加入年数別の厚生年金早見表(年額)
| 平均年収 | 20年加入 | 30年加入 | 40年加入 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 33万円 | 50万円 | 66万円 |
| 400万円 | 44万円 | 66万円 | 88万円 |
| 500万円 | 55万円 | 83万円 | 110万円 |
| 600万円 | 66万円 | 99万円 | 132万円 |
| 700万円 | 77万円 | 116万円 | 154万円 |
| 800万円 | 88万円 | 132万円 | 176万円 |
| 1000万円 | 110万円 | 165万円 | 220万円 |
※標準報酬月額の上限(65万円)があるため、年収780万円超でも厚生年金の上限近くに収束します。
あなたの年金見込み額を計算してみよう
ねんきん定期便の見方
毎年誕生月に日本年金機構から届く「ねんきん定期便」が、年金見込み額を知る最も正確な手段です。形式は年齢で異なります。
- 35歳・45歳・59歳: 封書、全期間の納付記録 + 将来の年金見込み額
- その他の年齢: ハガキ、直近1年の納付記録 + 見込み額
定期便の下段に「将来の年金見込み額」が記載されています。50歳未満の場合は「これまでの加入実績に応じた年金額」、50歳以上の場合は「現在の加入条件で60歳まで継続した場合の年金見込み額」が表示されます。
💡 ねんきんネットで詳細確認
マイナンバーカードがあれば「ねんきんネット」(オンライン)で、リアルタイムに年金見込み額を確認できます。転職した場合の年金額シミュレーションや受給開始年齢を変えた場合のシミュレーションも可能です。
繰上げ・繰下げ受給の損益分岐点
年金は原則65歳から受給ですが、60〜64歳に「繰上げ」、66〜75歳に「繰下げ」もできます。
繰上げ受給
1カ月早めるごとに0.4%減額(最大60歳で24%減)。一生減ったまま。
繰下げ受給
1カ月遅らせるごとに0.7%増額(最大75歳で84%増)。一生増えたまま。
損益分岐点(65歳受給を基準)
| 受給開始 | 増減率 | 損益分岐年齢(累計で65歳受給超え) |
|---|---|---|
| 60歳(5年繰上げ) | −24% | 80歳11カ月で65歳受給に並ばれる |
| 65歳 | ±0% | — |
| 70歳(5年繰下げ) | +42% | 81歳11カ月で65歳受給を抜く |
| 75歳(10年繰下げ) | +84% | 86歳9カ月で65歳受給を抜く |
つまり「自分が何歳まで生きるか」で最適な選択肢が変わります。健康寿命が長く長寿の家系なら繰下げが有利、健康に不安があれば繰上げ・通常受給が安全。FP実務では「標準受給(65歳)または70歳繰下げ」を勧めることが多いです。
Q&A
Q1. 年金だけで生活できますか?
A. 単身世帯で月15-20万円、夫婦で月20-25万円が一般的な年金収入。総務省の家計調査では高齢夫婦世帯の支出は月約27万円なので、毎月数万円の赤字が標準です。これを補うのが退職金・貯蓄・iDeCo・NISA・働き続ける収入になります。
Q2. 厚生年金の標準報酬月額の上限は?
A. 65万円(2025年度)。月収65万円超でも保険料・年金額の計算は65万円までで頭打ちです。これは「高所得者が払いすぎないようにする」と同時に「高所得者ばかり年金が増えない」設計です。
Q3. 専業主婦の年金はいくら?
A. 第3号被保険者として保険料負担なしで基礎年金(年約83万円)がもらえます。さらに離婚した場合、夫の厚生年金の一部を分割して受けられる「離婚分割」制度もあります。
Q4. 転職で厚生年金から国民年金になると損?
A. 厚生年金は給与×0.55%×加入年数で計算されるため、転職して期間が空いた分は確かに2階部分が積み上がりません。ただし国民年金(1階)は払い続ければ満額に近づきます。転職時の空白期間中は必ず国民年金に加入してください。
Q5. iDeCo は年金とどう違う?
A. iDeCo は「自分で運用する3階部分」です。公的年金(1階・2階)が不足するなら、iDeCo・NISA・退職金で「自分で作る年金」を増やすのが現代のスタンダードです。
📚 参考にした公的一次ソース
- 日本年金機構「老齢厚生年金」「老齢基礎年金」
- 厚生労働省「公的年金制度の概要」
- 国民年金法・厚生年金保険法
- ねんきんネット